餡子の行方

* 語りべ幹大 1.

「ああん、ん」

三ツ矢さんの吐息はギャップ。普段はツンツンしてるくせに、こういうときは、妙になまめかしくすっごい色っぽい。

「ここでしょ?容子さん?」
「あん、うう、、あ、」

三ツ矢さんの細く引き締ったくびれた腰を掴みながら、俺は思いっきり中を擦リあげた。もう何度も肌をあせているお蔭で三ツ矢さんの弱いポイントは知っている。そこを俺は厭らしく攻めていく。何度も何度も、三ツ矢さんの上を上下に動く。

「ああん、うん、んん、いい、そこ、、ああん、いい、、」

彼女の背中がアーチを作り、綺麗な顔が歪む。刹那、あそこの締めが益々強まって、彼女の壁と俺のモノがぎゅうぎゅうにこすりあう。やばいくらいの快感だ。熱く執拗に彼女の中がオレノモノにまとわりついて、きゅうっと絞り上げる、、そんな感覚に、、、

「まずい、、出る、、、」

ダラシナイ話で、もう辛抱ならん。

「あ、ああああああ、、、、、」

ちなみに、今のは三ツ矢さんの喘ぎではなく、俺の情けない雄叫びだ。三ツ矢さんをチラリと見れば、彼女も満足げに俺に笑いかける。この顔がたまらない。俺は己の淫欲を吐きながら、彼女の唇を覆う。彼女は目を細めながら俺のキスに応えはじめる。

実際、三ツ矢さんとは体の相性がいい。抜群にいいと思う。これは三ツ矢さんだって同じだろう。だから、時に俺は辛抱たまらず、つい、持たないこともある、、ほかの女たちにはもっと長くもっと意地悪く攻めたりできるのに、これが三ツ矢さんだとそうはいかない。が、これは相性が良すぎるからこそで、1回吐き出してしまえば、もう少しは頑張れる。

スキンにドクドクと吐きだした白濁した液を、仕方なく処理する為、俺は名残惜しみながら、彼女の体から己を引き抜いた。

「ああん、、」

引き抜くときに、三ツ矢さんはいつもたまらない声をあげる。また、大きくなりそうだよ。早く処理してもう一戦、彼女と交えたい!

「容子さん、、もう一回?ね?」
「ちょっと名前で呼ばないでよ!」

ピシャリと怒られた。そう、彼女は俺に名字でしか呼ばせてくれない。かの風子でさえも、ようこと呼んでくれないのに、何故、それ以下の俺が彼女を名前で呼ぶ権利があるのだ、というのが三ツ矢さんの弁だ。とても理不尽な理由だと俺は思う。けど、こういう気の強い女に弱いんだからしょうがない。だけど、Hのときだけ、彼女がギリギリ追い込まれていくときだけ、俺は彼女の名前を呼ぶ。三ツ矢さんは何も言わない。いや、言う余裕がないのだ。いやそう思いたい。いや絶対そうだ!俺だって、ヤンチャ時代はあったわけで、高校時代から大学時代とアメフトをやっているっていうのと、ボストンにいた帰国子女というだけで、簡単に女が寄ってきた。血気盛んなお年頃としては、食っちゃったし、やりまくった。今でも別れた女たちから、体だけでも続けたいなどというありがたいオファーがあるんだから、俺のテクも大したものだ、、、と言いたいが、実は単なる大きさと体積の問題らしいが、、、やはりテクニックでいうのなら、ショーニィには敵わないんだよなあ。ちぇ、大きさなら負けないと思うのだが、いや、これで負けてたら俺はどうすりゃいいんだあっ! 勿論カラミ現場を実際見たわけじゃないけど =そんな趣味ねえし= ショーニィが今まで付き合ってきた女たちの井戸端会議などを耳にすれば、ショーニィのテクは、すげえらしい。どこでそんなもの身につけたんだか、、、ちぇっ、弟の俺にも伝授してもらいたいもんだ。

三ツ矢さんとは、合コンで出会った。実は、あの合コン、19年以来会っていない幼馴染のプー子に会えるんじゃないかと期待して出かけたんだよな。俺の連絡網をあなどってもらっちゃこまる。4歳で、家族と渡米したものの、そのあと、ずっと後になってから、近所に住んでたイチローのアカウントをソーシャルネットワークで見つけたんだ。イチローとは別にアレだけど、アイツを通じて、もしかしたらプー子の音信が聞けるかなあ?なんていうちょっとイチローには悪いんだけど利用させてもらったわけだ。イチローも、中学まではプー子と一緒だったものの、高校からは別々だったからプー子の情報もあまり濃いものではなかったが、それでも、どこの高校に行って、どこの大学に行っているらしいとか、そして、どこの会社に入社したとか、まあ、表面上のインフォは聞けたわけだ。だから、今回、プー子の会社と合コンするって話聞いたとき、俺は、何となくプ―子に会えそうな気がして同期の井田に拝みこんで、合コンメンバーにいれてもらったわけだ。

本当は、広島に戻ってから、両親も小見山家に連絡したかったらしいんだが、、ショーニィがアメリカで一切日本の思い出を封印してしまったから、俺たちもアンタッチャブルのようにプー子たちのことを話題にしなかった。だけど、ショーニィが急に変わった。それが、ショーニィが大学受験を目指す頃、突然、、、、



『風子、、相変わらずドーナッツ好きなんだろうな?』


なんてことをショーニィがつぶやいた。俺等、親父もお袋も、え?!ってなもんだよ。それから、堰を切ったように、小見山家の思い出話で盛り上がった。けど、俺も、両親も、日本に帰国してから大分経っちまったから、きっかけを失って今さら彼らに連絡もとれず、それっきり。それからショーニィが、大学受験のために東京へ上京したんだけど、プー子に会いに行ったていう話は聞かなかった。あ、でもイチローが、その頃ショーニィらしき姿を商店街で何度か見かけたとかメッセージくれたけど、それも眉唾もんだ。だって、マジあの頃ショーニィは勉強にあけくれて余裕がなかったはずだ。風子に会いに行くどころじゃなかっただろう。だって、、ショーニィには珍しく、大学受験を失敗したんだからな。いや、これは俺のちょっとしたジェラシーな言い方。本当は行きたい大学が見つかってそこに入り直しただけだ。国立帝国大学の法学部に受かったくせに、やっぱりIT関連学部の多い、アインシュタイン大学で勉強したいからと言って1年浪人して一発合格なんだから、弟としちゃ、ちっとばっかし妬みたくなるもんだよ。だけど、あのときのショーニィは人生の分岐点とかで、かなり迷ったって親父が言ってたな。


『私立だっていいじゃないか?そこしかない学部で、お前がやりたいんだろ?だったら、しのごの言うな!男が決めたら前へ進みゃあいいんだよ!』
『けどさ、、、何だか、今さら方向転換っていうのも、、』
『何言ってるんだ?いいじゃないか。お前には理由があるんだろ?最後まであきらめきれなかったんだろ?コンピュータ―関連の仕事につきたいっていうのなら、それをやってみればいいじゃないか。若いうちだけだぞ?方向転換が簡単にできるのは。』
『悪い、、親父、、、』


ショーニィは、頭もよかったから法律分野でも十分やっていけたし、現に帝国の法学部に現役で受かったわけなんだから。たぶん早く親父たちに楽させてやりたいからって、将来性のある法学部を選んだんだと思う。本当はコンピューターが好きだったから、そっち方面も考えてたんだろうけど、、、でも昔から遊び半分でやっていたゲームプログラミングは、趣味でいいって思ったらしい。だけど、プログラミングをもっと勉強したいって言う本心に気が付いてしまったんで、現役大学生、しかも天下の帝国大生になることを棒に振って、1年間浪人してアインシュタイン大学に入学し直した。やり直しても受かっちゃうあたり、俺にもその頭の良さをわけてもらいたもんだと思うわけで、、、、そんなわけで、ショーニィは先に東京で一人暮らしを始めた。わがままを言ったからとショーニィは、自分で学費を稼ぐため、ゲームを作ったりしてそれを企業に買ってもらったりで小金を稼いだ。だから、ショーニィは、勝手に我がままな道を選んだと言ったけれど、実際親父たちには経済的には何の迷惑をかけてないんだよなあ。



「シャワー浴びてくる。」

三ツ矢さんは一糸まとわぬ姿で堂々としてシャワールームへ歩いていく。マジスタイルがいい。おっぱいもでかくて、三ツ矢さんが綺麗な足を前に出すたびに、おっぱいがプルンと震える。やばい、また下腹部が反応してらあ。

「三ツ矢さん、じゃ、俺も一緒にシャワーに。」
「今夜はもう終わり。」
「ええええ?!」
「シャワーからあがったら、わたし近衛君に聞きたいことがあるから。」

ああ、かっこよすぎだよ、三ツ矢さんは!合コンで見た時から、華やかで綺麗な人だと思ったけど、それだけで一目ぼれしたわけじゃない。三ツ矢さんは、最初、太い線で、ぎいいいいっと人との境界をひいて、誰もその中には入らせないようにしているように見えた。けど、プー子だけは別で、プー子を見る三ツ矢さんは、本当に優しい顔になる。それを見た途端、俺の胸がズキュンとやられた。俺たち兄弟にとって、今も昔も風子は妹分みたいなもので、誰も彼女を傷つけることは許されない、俺等はずっとそう思っている。だから三ツ矢さんがプー子を大事に思っているっていう、それだけで、何だか俺は胸がズキンとなったわけで、、、三ツ矢さんは、一見ツッケンドでズバズバとモノを言うんだけど、自分が毒舌だっていうことをちゃんとわかってる。だから、それが原因で起こるリスクもちゃんと覚悟しているから男前としかいいようがない。彼女が怒ったり、ツンとしていたりすると、何だか体に電気が走るみたいにちょっと興奮したりする俺がいる。まあ、よく考えれば、三ツ矢さんってちょっとショーニィに似てる。昔からショーニィに命令され、ど突かれて生きてきた俺だから、どMっぽくなったって、それはしょうがないよ。たぶん、プー子もどMだ。間違いない!俺等は結局同じ穴のムジナだ。なんだかんだ言っても同志だもんな?お前と俺は!
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