シークの涙 第二部 永遠の愛 

11.

ここは、所謂、高級売春クラブと言われているところだ。メンバー制で、かなり高い地位の人々、高官、文化人、富裕族などが登録している。海外からの著名も名を連ねていた。高額な会費料を納めても、金持ちの男たちが、この宿に来たがる訳は、勿論秘密厳守という理由もあるだろうが、まずはその内容だ。平均年齢12−15歳の少女たち相手に好き勝手なことができるとなれば、その手の嗜好を持つ愛好家にはたまらないプレイスポットになっている。ペルーシア王国では、金のために売られた12歳くらいの幼い花嫁を娶る好色爺が後を絶たず、それを取り締まる法さえもない。王国の首都ナイヤリシティを中心に都心部では、かなり近代的な考えを持つ人々で形成されていても、一歩田舎に踏み込めば、女にとって未だ理不尽なこともまかり通ってしまう。罰せられないとなれば、国内外問わず、このクラブのメンバー会員になりたいという者が押し寄せる。現在では紹介制度という形をとっていて、入会には厳密な審査が行われる。先ほど不遜な怪しげなサングラスの男も、ペルーシア王国の石油王の一人から紹介されていたので、女主人も彼の身元を気にする必要もなかった。

「先にシャワーを浴びられるかしら?」

女主人は黒レースのマスクをとろうとはしなかった。

/ドサッ/

男はそれには答えず、大きな寝台にどかんと腰を落とした。この部屋は宿のなかでもかなり広いはずなのに、この男がそこを占領しただけで急に狭くなる。男の持っている威圧感なのかもしれない。女主人はこの客と似たような、そこにいるだけで人を圧倒してしまう男を一人知っていた。

「お手並み拝見といこう。女将!」

男の低い声がした。女主人は男の膝との間に跪いて、男の腿をそっと触る。彼の仕立ての良いズボンの手触りを肌で感じる。男の腿をなでながら、その股間に手をやれば、男のモノはまだ何の反応もしていない。

「電気を消してもよろしくて?」

女主人は暗闇の中でマスクを取るつもりなのだろう。だが客の反応は意外だった。

「ダメだ。明るい光でないと、俺は興奮しない。」
「え?」
「今更だろう?生娘ならば宗教上の理由で顔を見せたがらないというのはわかるが、海千山千のアンタのことだ。いまさらだろうが?」

男の有無を言わせない言葉に、女主人が初めてたじろいだ。じっと考え込む。やがて観念したように口を開いた。

「興ざめしても知りゃしませんよ?お客様?わたしの顔を見て萎えたとしても、責任は持ちかねます。」
「は?顔で興奮するわけではないだろう。俺はアンタのテクニックに金を払うんだ。」

女主人は意を決したように、マスクに手をかけた。少しずつ少しずつためらっているのか、ゆっくりとした指先でマスクの下をまくっていく。マスクを顔からはずした女主人は、乱れた髪を気にしたのか、バサバサと首を振った。前髪の長さで顔の左半分が少しだけ隠れる。それは女主人が意図して隠したがっているようにみえた。

「火傷の傷ですよ。」

女主人は客に聞かれる前に自分からそう答えた。客が動じないのを見てとって、彼女は左手で髪をあげ、今度こそ自分の顔を明かりの下でさらした。

「、、、、」

客は何も言わなかった。それが女主人の傷跡に引いていたのか、それはわからない。けれど男は何事もないような顔をしていた。

「ひどいでしょう?熱湯ですよ。こんな醜くて、、、、」

確かにケロイド状態になった傷跡が大きく顔左半分を占領していた。皮膚の端々がつったようになっていて、それが痛々しかった。右の顔を見れば、端整で妖艶な美しい女だったから、左の傷とは余計対照的に映る。だが男は何も言わなかった。

「無理しなくて結構でござんすよ。こんな傷見て引かない男はいやしません!」
「そんな戯言、俺には関係ねえよ。それよりも早く達かしてくんねえか?」
「え?」

男は本当に女の傷には興味なさそうだ。女主人はそれが彼の本心だとわかりほっとしたようだ。すぐに真っ赤な爪で股間を軽く刺激する。下から男を見上げながら、男の表情を見逃さないようにしていた。やがて、男のズボンのベルトをはずす。

/カチャカチャッ、、/

ジッパーを下げる音がして、すぐにズボンが男の両足元でストンと落ちた。男はベッドにこしかけたままだったから、ズボンは綺麗な輪っかになって床と触れ合っている。まだ変貌を遂げない男のものを、女は優しい手つきで取り出した。

「おおっきい、、、」

思わず口にだしてしまった。未だ変化のない男のペニスだが、その質量は圧倒的で、これが本気でエレクトしたならば、どこまで膨張するのだろうか、、、そんな想像で女の興奮が高まって行く。彼女は真っ赤な唇からチロチロと下を出し、やにわ、それを銜え込む。

/チュル、チュパッ、チュパッ/

この上もなく卑猥な音が部屋中に響き始める。ただでさえも大きなソレは、女主人の口内を占領していく。

/チュッパ、ズボッ、チュパ、、/

舌を巧みに使い、口内でそれを転がしていけば、ゆっくりと余裕たっぷりに、ソレが大きく凛々しくなっていく。彼女の口内はもういっぱいいっぱいで息をすることすら苦しくなった。

(あああ、何て大きな、、、これでわたしをこすって掻きまわしてぐちゃぐちゃにしてほしい、、、)

女主人は久しぶりの興奮に、もぞもぞと尻を動かした。商売柄、宿の主人とはいえ指名をされれば、客と寝ることは日常茶飯事だが、こんなにたくましく大きなペニスは本当に久しぶりだ。

(まるで、、、シーク、、いえ、モーセを思い出すわ、、ああ、これでめちゃくちゃにして、、、めちゃくちゃに、、、)

女は我慢が出来ない様子で、上目使いで男を見ながら、先を促した。

「ほうら、もうこんなに大きくなって、、、ふふふ、、どうしましょうか?お客さま?」

男は力強く女の腕を引っ張った。いつのまにかズボンや衣服が床に履き散らかっていた。

/ドスン/

女主人の体がベッドに押し付けられ、四つん這いの姿を強いられる。男の大きな手のひらが女の尻をさすりあげれば、女の体に電流が走ったようで、背中が反り返った。

「ああん、あ、、」

思わず声があがった。

「フン!客より先に興奮してるってか?」

意地悪な男のささやき声も、女の官能を刺激するには十分だった。

「あん、あああ、お願い、、、焦らさないで、、、ひっ」

いきなりそそりたつ猛り狂うものが体内に突き刺さった。力強い動きで、その雄々しいものがズンズンと女の中へと、躊躇することなく突き進んでいく。壁がギチギチにれる。こすれる。女の尻が我慢がきかなくなったように勝手に動いていた。

「す、、ごい、、あんあんあん、あああ、すごい、、、あ、そこ、もっと、、」

貪欲な声に、男は容赦なく突き刺しては後退する。後退しては、また容赦なく突き刺していく。

「ああ、ああん、いい、いいい、いいわ、もっともっともっと!」

嬌声が響き渡り、女は四つん這いになりながら、顔を少し後ろに傾け、男に口づけをねだる。商売女は客とは口づけを滅多にしたがらないが、この男とモーセを重ねてしまい、女の顔が厭らしく媚びていた。

「ねえ、、、瞳をみせて、、あんあん、おね、、がいい、、、あなたの瞳を、あん、」

未だサングラスをはずしもせずに、淡々と腰を打ち付ける男は小憎らしい。この男の瞳を見つめながら、きたい。

「お願い、、瞳を、、、」

埒もあかない女の戯言を無視するように、打ち付ける男の腰は激しく強く動き始めた。女主人は必死で両手でベッドの淵をにぎっているのに、そんなことは何の役にも立たないように、体がぐんぐんと前に押される。その度に奥へ奥へと打ち付けられ、たまらない。

「あああ、いい、そこそこそこっ!ああああああ」

達ったのか、、、女の体がビクリとなった。だが男は動きを止めようとしない。

「だめえええ、だめ、そこは、あああ、もおおおお」

狂ったように叫び、女の目の焦点が虚ろになっていく。口からヨダレすらも出そうなくらいの快楽に、女のオルガニズムが再び膨れはじめる。

「あ、あん、あん、あん、、、」
/パンパンパンパン/
「ああああ、あ、、、、」

/パンパンパン/

「あ、い、、イク、また、イっちゃう、ああ、ああん、あんあん、」

/パンパンパンパンパン/

男の動きがスピードを増していく。強く強くドンドンと女の腰を打ち付けていく。女の嬌声が又響き、それと同時にベッドの軋みも激しくなった。

/パンパンパンパン/
/ギシギシ、みし、ギシギシ/

打ち付ける音と、卑猥な水音、そしてベッドの揺れる音、女の啼く声がせわしなく部屋をいっぱいにしていく。


「あああん、だめえええ、イクうううううっ!」

すかさず男は己を抜いて、女の体を仰向けにすると、彼女の腹に白濁の淫欲を一気にぶちまけた。熱いしぶきが彼女の体に走って行く。

「あああああ、あああ、、、、」

達した満足感と充足感で思わず女主人のため息が漏れた。彼女の瞳に映った男のペニスは、赤黒く未だ雄々しいままだ。

「え?」

絶倫と呼ばれるタイプなのか、男は再び、それを女の中に突っ込んだ。

「ひっ!」

イッたばかりの体にはきついけれど、それでも快楽がそれを勝る。また壁をゆっくりと擦りながら、男は出し入れをゆっくりと始めた。体の中すべてが性感帯になってしまったようで、まだ奥まで入っていないというのに、女の背中がビクンと反り返る。

「あああ、感じる、、、あ、あ、すごい、、すごい、、」

女主人がこれだけ乱れているというのに、この客はニクタラシイくらい冷静だった。先ほどと同じように、いや、体を知り尽くしたかのように、今度は女主人の確実に弱いスポットを集中的に責めてくる。

「いやああ、そこ、ああん、」

さきほどよりも短い時間でエクスタシーを迎えてしまいそうだ。

/ズンズンズン/

ゆっくりと挿入を繰り返す。

「ああ、イッちゃう、イク、、またイクうううう、、、ああ」

/パンパン ズンズン/

女主人の醜態とは反対に、冷静な男の口が開いた。

「アンタ、踊り子だったジーナ・シャダーウーだろ?」
「え?」



/ズン!/

「あああああああああ、、、ああああ、、」

女主人が答えるより先に快感が体の中を走り、女は意識を手放した。

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