トイプーの摩訶不思議なクリスマス

SS.

「はい、どうぞ。」

/コトン/

目の前に置かれたグラスに、牧川智明(まきかわともあき)は思わずはっと顔をあげた。カウンター越しに、ソムリエメダルをかけているベリーショートの女がにっこりと笑った。

「店からのサービスです。」

奥のかなりイケメン男と目が会って彼が頭を下げたので、牧川もあわてて会釈を返した。40歳近くか、それでも顔立ちはスッとしていて体も鍛えているような均整のとれた体つきだ。牧川の上司、設楽涼の美貌とはまた別の、優しげな翳りのある美しい男だと、牧川は店を訪れる度に思う。彼はいつもカウンター奥で優しく客を見守っている。時々牧川と目が合うと、今のように笑みを浮かべて会釈をしてくれる。

「オーナーなんですよ。」

彼女は奥の男を指差して、再び微笑んだ。びっくりしたのは、彼女の美しい指先とその仕草だった。エレベーター嬢がよくするように、きちんと指先を合わせてピンと張り、後方の男に手を向けた。完璧で優雅な仕草。

「お客さん、たまにいらっしゃいますよね?」
「え、ええ。」

牧川は一瞬驚いて目が大きくなった。目の前にいる女はこのバーのソムリエらしい。だが、たまにここに立ち寄る牧川は初めて見る顔で、、年は牧川より年上のように見えるのだが、小柄で元気はつらつなパワーを内に秘めているような女だった。

今日はクリスマスイブで、バーカウンターには、待ち合わせのカップルで大層賑わっていた。ここでイブを過ごすというよりも、それぞれが待ち合わせ、相手が来たら、今夜のお目当ての場所へとそれぞれが姿を消していく。それでも次から次へ、待ち合わせの客で、店は人の出入りが多かった。店のあわただしい出入りとは関係なく、店内には落ち着いたジャズナンバーのクリスマスメロディーがかかり、ゆっくりと時が流れて行くようだ。

カウンター内にいるソムリエとおぼしき女は、もう牧川に話しかけることはしない。ここでは沈黙の空間も居心地の良さのひとつだ。けれど、牧川は何だか急に寂しくなった。イブだというのに、自分はこんなところで一人で飲んでいる。だからといって、誰でもいいから寂しさを埋めようなんていう気などサラサラない。案の定、うるさくキゃピキャピした上田和美やらその取り巻き連中の同期に今夜誘われたのだが、あんな女たちとイブを過ごそうなんてことはハナっから考えていない。だから、別段、カウンターで一人で飲んでいても、周りの楽しげな雰囲気も牧川は全く気にならなかったのだ、このソムリエの女に話しかけられるまでは、、、

彼女の声は低いというわけではないが、とても落ち着いた声音だった。目が印象的で、瞳が大きく目じりが少しあがっていて、猫を思い出す。短くカットされた髪型は、ソムリエの童顔な顔立ちにシャープさがアクセントされ、とても似合っていた。化粧っけのない顔は、薄暗いバーの中でも輝いて見え、恐らく元々色白なのだろう。紅すらもつけていないその顔つきからも、プロのソムリエとしての矜持が伺われた。自分よりも華奢で小さいその女を見つめながら、牧川は倉沢ゆり子を思い出す。顔立ちや体型が似ているわけではない。ゆり子は背も高くスラリとした印象だが骨格がしっかりとしている。今目の前でテーブルを拭いている女とは似ても似つかないはずなのに、恐らく自分の仕事へのプロ意識が倉沢ゆり子を思い起こさせたのかもしれない。

牧川は、空気が良く入りそうな口の広いどっしりとしたワイングラスを口につけ、一口飲んでみた。

「ん、、美味しい。」

小さな声だったのに、前にいた女はそれを聞き逃さなかった。

「よかった。それ、実は国産のブドウで作られたワインなんですが、、、なかなかのヴァインヤードで見事なブドウ品種を育てている素敵な農園です。」

とても嬉しそうに笑ったその顔に牧川はドキリとした。

「今日はイブですから、皆さんに少しだけ幸せをお裾分けしたいとオーナーが申しまして、、、」

だからお客様全員にサービスしているんです。そうソムリエはつけ加えた。

「へえ。太っ腹なオーナーさんですね?」
「あ、喜びますよ、オーナー。お客様にそう言っていただいて。」

彼女は奥でグラスを拭いていたオーナーにウィンクをした。そうか彼はこの店のオーナーだったのだな、と牧川はワインをまた一つ口につける。オーナーが少し赤くなったように見える。恋人同士だろうか? 牧川はぼんやりとそんなことを思った。

(何時まで営業しているのだろうか、、)

たまに会社帰りにふらりと立ち寄る。いつもはもっと早い時間だ。1,2時間ワインを楽しみ、帰宅する。一度も閉店間際までいたことなどはない。とても雰囲気がいいのでお気に入りの場所となっている。雰囲気がよくて、初心者の牧川でもゆっくりとワインを楽しめるこの店に、倉沢ゆり子を連れてきたいなあと思っていた矢先、尊敬する上司でもあり、永遠のライバルでもある設楽涼に宣言された。



『俺と倉沢つきあっているから。』


まあ、別段そんなこと言われても、二人が結婚しているわけでもないし、、、けれど初めから勝負がついている気もした。ゆり子の牧川への優しさに甘え、それで自分は逃避していただけなのかもしれない、、でも、だからといって勝負を投げ出したわけではないけれど、、、

だが、


『わりいな、俺、今月から倉沢と一緒に暮らしているから。』

これにはいささかショックを受けた。まあ、これは、設楽涼の意訳による牧川への牽制ではあったのだが、、設楽涼は、倉沢ゆり子と同じマンションに引っ越してきたわけで、、、

(あの人、意外に一途なんだよなあ。)

上司でありながら永遠のライバルの意外なギャップを思う。落とせない女は今までいなかったらしい。そして唯一難攻不落と呼ばれた女、=倉沢ゆり子= が落ちるのも、もう時間の問題。いや、すでに涼の手中におさまっているのか、、、




「何かお注ぎしましょうか?」

カラになったグラスを見て、すかさずソムリエが声をかけた。牧川の思考が中断される。だが、不快ではなかった。彼女の声はとても朗々としていて覇気がある。

「えっと、、」

「あっ、次からはサービスではないですけど? 何かお持ちしましょうか?」

まるで牧川がそんなことを知りたがって言葉を濁したようで、彼は赤くなった。

「あ、、ごめんなさい。わたし、、、ジョークだったんですけど。」

満面な笑みだ。やられた。他意のないことがわかる。まぶしくてお日様のような笑顔に、牧川は目を細めた。

「赤でよろしいでしょうか? ご希望の銘柄とか産地はございますか?」
「えっと、、僕、、あまりワインに詳しくなくて、、」

牧川がこのバーにフラリと寄るようになったのは、まさに倉沢ゆり子の影響だった。彼女は、ワインが好きで、よく赤ワインを飲んで、とても幸せそうに笑う。だがら少しでも近づきたくて、少しでも共通の話題を増やしたくて、、、そう思った矢先、会社の帰りに見つけたワインバー。いつもは2、3杯飲んでその場を後にするのだが、さすがにイブの今夜、もう少し、ひと肌を感じる空気に浸っていたかった。

「いつも、フランス産ですか?」
「それが無難だと聞いたもので、、」

「どんなテイストがお好みでしょうか?」

「やっぱり甘いのは僕も嫌いなんです。」

すらりと言葉が出てきた牧川だが、その不自然さに気が付いていなかった。倉沢ゆり子は、甘いフルーティなものがあまり好きではない。いわゆるフルボディの赤が好みらしいのだが、その影響かもしれない。前に、かなり甘みが口の中に残ったワインを飲んだ時は、やっぱり苦手だと思った。それをふまえての、“僕も” という言葉になり、“やっぱり” という初めての人が聞けば唐突な接続詞を使って、“倉沢さんは正しかった” という意味合いが無意識に言葉に表れていた。

「あははは。」

いきなり目の前の女は笑った。

「え?」
「あ、ごめんなさい。どなたかを思い浮かべていたんですね?」

割とあどけない顔をしているくせに、鋭い女だと思った。その上、”誰かの受け売り” だということをちゃんとわかっているくせにあえてやんわりと言ってくれているのだ。

「あ、本当にお客様申し訳ありませんでした。立ち入ったことを、、わたしのまだまだ修行が足りない部分で、、、」

女は恐縮して、牧川の返事を待たずに奥へと消えていった。オーナーが消えていった女を心配そうに目で追って、観察するように視線を牧川に移した。牧川は少しだけ居心地の悪さを覚えた。まるで恋人同士の邪魔をしてしまったような気持ちになった。ソムリエの女は、なかなか姿を現さなかったので、勘定をしようとオーナーに合図を送った。彼はクールそうに見えたが、牧川が、手をあげて、すみません、、と口だけを動かすと、子供のような笑みを浮かべた。

「はい、なんでしょう?」

大人で、如才なく、とても感じのよい男。こういうところは何となく設楽涼が思い出されて、牧川はますます心に寂しさを覚えた。先ほど奥へ引っ込んだ女の恋人、、、そう思うと何だか知らないけれど心が重く沈んでいく。

「あの、チェックを。」

牧川の言葉は意外だったらしく、オーナーは、あからさまにびっくりしたような顔をした。

「あれ?先ほど、あきらがワインを探しに行ったと思ったけれど、、お客様のじゃなかったのですか?」
「え?あ、、きら?」

「あ、すみません、うちのソムリエの名前で、ここに立っていた、、、」

オーナーは涼しげな瞳を細め牧川の目を見つめ、カウンターを指差した。

「お時間が許されるなら、もうしばらくお付き合い願いませんか?もしかして、お客様のようなハンサムさんなら、今夜はお忙しいですか?はは、何だか親父っぽい言い方だなあ、、ハハハ」

オーナーのはにかんだような笑顔は、大人の男というよりも少年っぽい感じになって好感がもてる。一介の客に過ぎない牧川にも、極上な笑みをするオーナーの、その優しい顔つきから人となりがわかる。相手がこんな素敵な恋人ならば、きっとあきらというソムリエも、幸せに違いない。またもや、牧川の口からため息が漏れた。オーナーは少しだけ落胆した顔をした。

「あ、無理にとは申しませんので、、」
「い、いえ、、すみません、、そういうつもりでは決してないんです。」

牧川はあわてて謝った。

「俺、、、今夜はめちゃくちゃ暇なんですよ。」
「またまた?」

オーナーは何だか嬉しそうな顔をしながら、後ろを振り返った。気が付くと、あきらが、いつのまにか姿を現していた。あきらはニコニコと笑っていて、優しくオーナーを見守っていた。牧川が座っている薄暗いカウンターからでもその表情は、はっきりとわかった。


<すみません、、>

店内の奥から客が呼ぶ。あきらの顔がそちらに向き、客の方に行こうとするのをオーナーが振り返り、彼女の方に歩み寄った。

「あきら、俺が行くよ。」
「で、でも、オーナー」

オーナーは照れた様子で、何やらあきらに小声でささやいて、ポンと彼女の肩に触れ、カウンターテーブルをあげて客席に行く。

「お時間は大丈夫でしょうか?」
「あ、はい。」

「それでは、こちらはいかがでしょうか?」
「はい?」
「ドイツ産ですが、お飲みになったことは?」

あきらは牧川にボトルを向けた。牧川は手に取ってラベルを見ていたが、ドイツ語で書かれてあるのか、名前すらも覚えがない。

「お試しになりますか?」
「はい。」

素直に返事をした牧川の目がクリクリとなった。好奇心が瞳に表れていたらしく、あきらは目を細める。

/トクトク/

少しだけグラスにバーガンディー色の液が注がれる。牧川はすぐにグラスの足を持ち、見よう見まね、ぐるぐる回す。

「あ」

口につけた瞬間、スパイスのような香りとともに口に広がったまろやかな味わい。かすかに甘さを感じながら、でも嫌いな味じゃない。

あきらは興味津々に牧川の一挙一動を見逃さないように、じっと見つめている。

「美味しいです。っていうか、僕、、申し訳ないんですが、ワインの味がわからなくて、、でも、嫌いな味ではないです。」
「それでいいんだと思うんですよ。お客様の感じられた、『スキ』という好みを基準に、どんどん開拓していけばいいんです。」

迷いのない言葉に、救われる。

「あの、、あきらさん、僕、牧川智明といいます。先ほどオーナーさんがお名前を教えくれて、、お客さんと呼ばれるとどうも、、」

つまり名前で呼んでほしいのだと、遠回しに伝える。牧川にしては随分まどろっこしいことをする、設楽涼がいたら、そうやって揶揄されたに違いない。年上キラーと呼ばれている男で、倉沢ゆり子は勿論、谷美和子やら、お局軍団の心広い胸を借りて、その懐に飛び込んで、くうん、くうん、と、まるでトイプードルが鼻をならしているような姿は、彼女たちの母性本能をくすぐる。勿論牧川は計算でそうしているわけではないのだが、どうやら、生まれながらの末っ子気質も手伝って、人生そうやって生きてきた。だが、どうも、あきら相手だと何ともいつもの調子がでなかった。

「あ、申し遅れました、わたしは、安河内(やすこうち)あきらです。オーナーは、岸雄之助(きしゆうのすけ)と申します。」

牧川がオーナーさんと呼んでいることから、まだオーナーの自己紹介もまだだろうと推測したあきらはさっと名前を紹介した。

「あの、あきらさん、僕、あなたを見かけたのが今夜初めてなのですが、、それとも前にお会いしてましたか?」

そう、それだ。先ほどからどうも違和感があった。自分は初めてなのに、あきらの方は、まるで牧川を見かけたことがあるような話しっぷりだ。何回か店に立ち寄ることも、フランス産のワインを飲んでいたことも、、、

「ああ。あれです。わたしのシフトは、いつも22時からですが、少し早めにきて、奥やワインセラーでガサガサとしているんです。そのとき、お客、、いえ、牧川さんがいらしたのをお見かけしておりましたので、、それに、、牧川さん、風貌が目立ちますから、、フロアーの子やほかの人間たちもいつもキャーキャーと騒いでいて、、あははは。」

美和子ほどの大口ではないが、あきらは、まったく飾らない笑い方だ。けれど下品ではない。白い歯を見せてスッキリと笑うのは、いつも見慣れたキャピキャピした媚びたスマイルとは違って、気持ちがよかった。

/トクトクトクトク/

あきらは、牧川がワインを気に入ったのをみてとり、今度はちゃんとワインを定量まで注ぎ始めた。

だいぶ店の中の人も少なくなってきたようだ。先ほどまでカウンターはぎっしりと込み合っていたのに、今は、牧川一人だけがカウンター席にポツンと座っていた。

「あの、よければ話相手になってもらってもいいですか?」

あきらが気をきかせてまた口をつぐまないように、牧川は先手を打った。

「よろしいんでしょうか?」

本当にお日様のような笑顔だ。あきらが笑うたびこちらまで嬉しくなるから不思議だ。3杯目のワインが心地よく、体中をかけぬけていく。意外と幸せなイブかもしれない、などと勝手に思う牧川だ。


あきらとは何となく映画の話で盛り上がった。明るい彼女は、その見た目通り、スカッとしたものが好きらしいが、だがその反面社会派ドラマも好きだという。牧川も、付き合った女の子のお供でよく恋愛映画を見せられたものだが、その実、ノンフィクションやドラマ性の高い映画に目がなかった。


「ホテル ルワンダ、」
「見たあ!」

人は人と共通点を見つけていくと、その距離がぐっと近くなる。牧川は酔いも手伝って、あきらに親しげに話しかけていた。互いに意見があえば、屈託なく笑顔をあきらに向ける。自分の知らないことには黒い瞳をキラキラさせ、あきらの顔を穴があくほどこれでもかと見つめている。これはいつも倉沢ゆり子や谷美和子の知っている牧川で、キャンキャンととびあがりながら人懐っこいトイプーがそこにいた。

気がつけば、店内に客は牧川一人だけだ。
いつのまにか、牧川とあきらの話に、静かに耳を傾けているオーナー雄之助の姿があった。

「もう今夜看板しめちゃおうか?」

「だ、だめだよ、雄さん!」

先ほどまで仕事モードのあきらはオーナと呼んでいたのだが、今は親しげに彼の名前を呼びながら、眉間にしわを寄せ雄之助を叱る。明らかに、雇用者と雇用人の位置が逆転だ。

「まだ閉店まで2時間もあるじゃないの!」

牧川はあわてて時計を見る。今、夜中の12時をまわったばかり。ということは、2時までこの店はやっていることになる。

「あの、雄之助さん、、」

牧川もいつのまにかオーナーを名前で呼び、そのたびに雄之助から嬉しそうな笑顔を向けられた。

「あの、今夜がかき入れ時だと僕も思います。みんな、食事をしたあと、どっかで乾杯してお祝いしようか、なんて人々がうじゃうじゃいますよ。きっと。だから、お店は閉めない方が、、、」

酔っていても、牧川は営業畑にいる人間らしく、チャリンと採算を計算していた。

「ううん。採算よりももっと素敵な出会いにね。」

雄之助が自然に片目を瞑った。その端正な顔立ちとさらりとやってのけたその仕草に色香を感じ、同性ながら牧川は少しだけどぎまぎとなった。

「もう、雄さん、相変わらずなんだからっ!」

あきらは困った顔になった。だが、雄之助の決心は固いらしく、さっさか看板を片付けに店の外に出ていく。

「ごめんね。牧川さん。」

あきらが心から悪びれた様子で謝った。牧川にすれば、何となく、自分への呼称があまり他人行儀に聞こえ、ちょっぴり落ち込む。

「雄さんね、本当にいい人なの。見た目がいいでしょ?彼。でもね、性格もすごおおおおくいいから。」

手前味噌なのか、恋人への賛辞があきらの口からこぼれ出る。理由もなく牧川の心がまた沈んだ。

「やっぱり迷惑だよね?」

あきらはすっかりタメ口となり、うちとけた様子だ。だが牧川のどんよりとした落ち込みを、店に長居することを拒否したいのに遠慮して言えないのだと、そんな風にあきらはとったようだ。

「約束、、あるんでしょう?」
「いいえ。本当に、お店看板にしちゃって僕まで残っちゃっていいんですか?」

「いいの、いいの!」

答えたのは、雄之助だ。

「さ、ここからはキミは、もう客でもないし、僕らも店の人間でもない。無礼講だよ、いいよね?」
「あ、よろしくお願いします。」

完全にリラックスムードの牧川はあどけない笑顔を向けた。だいぶ酔いが回っているらしい。その年上女子キラースマイルは、同性の男にも発動され、かわいい子犬をみたときの胸がキュンキュンとくるような笑顔だった。

雄之助の顔が固まり、顔が少し赤らんだようにみえた。

「お、おい、ここ頼む。あきら。俺何かツマミ作ってくるわ。」

彼はあわてて、あきらを呼び、自分はすぐに奥に引っ込んだ。二人のやり取りを少し後ろで見ていたあきらは、カウンターから出てきて、牧川の隣に座った。

「無礼講だもんね?」

あきらはそう言いながら、自分で持ってきたグラスをハナにつけ香りをかぐように息を吸った。途端、幸せそうな笑みを浮かべた。それはソムリエというよりもワインを心から愛する一人の女の顔だった。

/ドキン/

牧川の鼓動がはねた。不思議な気がした。今夜会ったばかりだというのに =あきらには幾度か見られていたようだが= なのに、あきらの笑顔がやけに心に響いてくる。さきほど完璧なまでにソムリエの仮面をつけて働いていたあきらの印象がガラリと変わっていた。今はもっとざっくばらんで、威勢のいい下町っ子のようだ。牧川が、以前ずっと好きだった年上の女と、倉沢ゆり子は、どことなく似ているような気がする。たたずまいが凛とした年上の落ち着いた大人の女性。あきらは仕事をきっちりこなす、という意味では、ゆり子と一緒だ。けれど彼女の明るさやはっきりとした物言いなど、女としては、自分の憧れの女たちとは、ちょっと対極にいるような気がした。

「ああ、やっぱ幸せだよねえ。これで、雄さんがラクレットなんて作って来てくれたら、もう最高!ふうううう。」

ゴクリとワインを飲みほした。何だか、、あきらは、、

「雄さん、早くツマミ持ってきてよおおっ!」

もうすでに、あきらは、下町生まれのおきゃんな、、、女ではなく、親父のようになっていた。そのあともなかなかの有無を言わさない注文ぶりだ。

「わたしは、ブルゴーニュ飲んでるから、ニンニクたっぷりのキノコの料理とか、あとブルーチーズもね。牧川さんはのは、ドイツ産だからねえ?!、」


「うっせえええよおお!」

奥から、明らかに不機嫌な口調が戻ってきた。仮にもオーナーである雄之助をなんだかだと言ってはこき使っている。雄之助は、早くも尻にひかれているようだ。

「あきらさんと、雄之助さんとは、、知り合ってどのくらいなんですか?」
「そうだなあ、わたしが物心ついたときから、もう雄さんいたから、、えっと、34年くらい?」
「え?」

牧川は絶句。それは、二人の付き合いの長さなのか、それとも、あきらが牧川よりも10近く離れていたことなのか、、年上だとは何となく思っていたが、ほんの2,3年くらいだろうと読んでいて、、、だが、現在、34歳なら、牧川の上司、設楽涼とほとんど同年代と言わざるおえない。

「なに?その年寄りをみるような顔は?牧川さん?え?」

親父になったあきらは、もう、遠慮もなく牧川に突っ込んでくる。

「あきら、お前、ポンポン言うなって、化けの皮はがれて牧川さんが驚いてるって。」

/どん/ /どん/

次々と皿を置きながら、雄之助が牧川を援護した。ぷううんと、ニンニクの香りがハナをつき食欲を誘発させる。いつもはチーズや、せいぜいソーセージくらいのつまみでワインを楽しんでいた牧川は、カウンターに並んだ料理の品々を見て、次回は、こういうのも頼んでみようかなどと思っていた。

「さあ、食べてみて?」

雄之助は皿を牧川とあきらの前に配る。

「あ、美味しい。」

キノコを口にいれれば、ふわあっとオリーブの香りと絶妙にタッグを組んだにんにくの香りが口の中に広がって、歯ごたえのよいシメジがたまらなかった。牧川が隣を見れば、嬉しそうに口を動かしているあきらと目があった。

「雄さんの料理は、本当美味しいの、ね? どう?」
「ええ。美味しいですね。あきらさんは幸せですよね。」
「何で?」
「え?だって、料理うまい人っていいじゃないですか?」
「うん?」
「あれ?この間、うちの女子社員が騒いでましたよ。イケメンで料理のうまい男を恋人にするなら最高だって。」

「え?なに?」

今まで頭の回転が速いと思っていたあきらの脳が、どうやら、ここにきてスタックしてしまったらしい。

「あ、だから、雄之助さんを恋人にできて、、」
「だ、誰の?」
「えっと、あきらさんの。」


「「ぶっ」」

あきらだけでなく、雄之助からも声にならない擬音が鳴った。


「な、何か、僕、、え?」

さすがに牧川。酔っていてもこのオカシナ空気を察知して、自分の言った言葉の何が余計なことだったのか頭を巡らせる。その様子を見ていたあきらはポカンと口をあけ、雄之助は顔面蒼白になった。

「ちょっと、雄さんどういうこと?雄さん得意げに言ってたじゃないの?」
「え?」

「牧川さんは絶対に俺に気があるって、」
「あきらっ!」

「え?」

二人より一拍遅れて、牧川も固まった。何だか、急に酔いが元気いっぱい体の中をぐるぐると回っているような気もする。朦朧とする中で、二人の口げんかのような言葉が聞こえてきたようだが、何かモヤにつつまれたようにこもって聞こえる。

「だって、彼と何度も目があってにっこり笑ってくれたし、、それに、俺がカウンターに立ってるといつもニコニコして、カワイイ笑顔を見せてくれるし、、」

もう眠くってたまらない。脳の停止ブレーキの音をかすかに聞きながら、牧川はそれでも必死に思った。

(どうりで雄之助さんと目が合うと思ったんだよ、、だけど、いつも優しそうな顔でこちらを見てくるから、、こっちもつい、、、)

牧川の思考は眠気と戦いながらかろうじて機能を果たしている。

「あ、あの、僕、、雄之助さんが笑うから、つい僕も、、」

つまりは営業畑の成せる業。上司の設楽涼には、『どこで何が役に立つのかわからないのだから、人とのつきあは大切だ。お前は笑顔を武器にしろよ』などと言われていたのを忠実に守っただけだったのだが、、、

まさか、雄之助がゲイだったとは、、、、

ここ、『ワインバー アル恋リス』は、もちろん一般向けのバーなのだが、このイケメンのオーナは、この辺のゲイ界隈で密かなる人気で、一人でフラリとやってくる男は、ほぼ90%の確率で、雄之助目当てと言ってよかった。雄之助の好みはなかなかに難しく、おめがねに適うパートナーはほぼおらず、、、やっと見つけて愛しくはぐくんできた、客の牧川智明、いつも笑顔を見せればかわいらしい笑顔を返してくれる、もう雄之助の好みにドンぴしゃり!向こうだって雄之助を憎からずと思っていてくれる、、、そんなことを雄之助はあきらに自慢げに話していたのだ。



*****
朝の陽ざしが目にまぶしい。

「ううんん」

牧川は思いっきり伸びをして体をぐうんとそらした。だが、いつもと違う風景。天井が木目で、昭和を思い出す光のかさの蛍光灯。その上、寝心地が、、と思えば、自分のベッドではなく、どこか知らない布団の上で寝ていたのだ。

「え?」

ぎょっとした。一人ではなかった。よくテレビドラマや小説や、酔った勢いで記憶をなくし、朝、重い頭をさせながら目を覚ませば、そこに見知らぬ女が、、、というシチュエーション。

だが、牧川の布団の隣にひいてある布団には、、昨夜のワインバーのソムリエ、=牧川の記憶が確かならば= 安河内あきらが、スヤスヤと寝息をたてて気持ちよさそう眠っている。

「えええ?!」

思わず自分の体を見下ろした。インナーシャツとボクサーパンツはかろうじて身につけていた。ほっとしたものの、いや、事後が終わってから着た可能性だってまだ捨てきれない。何とか深いところにおいやられた昨晩の記憶を取り戻そうとしている。

いや、記憶がなくても、女に手を出してしまったとなれば、もうこれは言い訳ができないではないか。もう一度隣で寝ているあきらを見つめた。

昨夜の薄暗いバーで見るあきらよりも、この清々しい朝の光がよくあう女だ。すっぴんの顔はあどけなく、かわいらしい寝顔だ。あ、意外にまつ毛が長いんだ、と思っていたら、、、

「うん、、、うううううん」

ぎゅいいいいんと両手で伸びをして、気持ちよさそうに、ゆっくりと瞼をあけた。まだ起きぬけのとろんとした瞳が牧川の驚いた瞳に映りこむ。

/ドキン/

牧川の心臓が跳ねる。

「おはよう。」

起きたばかりだというのに、さわやかに元気のよい声が牧川の耳をくすぐった。

「あ、お、おはようございます。あ、あきらさん。」
「よく眠れた?牧川さん?」

何と自然な言葉だろう。何年も前から一緒にいるような、あんなこと =記憶がないので不明だが= した朝だというのに、あきらは何のてらいもなく、まっすぐに牧川の目を見つめる。

きょとんとしている牧川の様子は、昨夜の記憶が飛んでいるのが丸わかりだったらしい。

「牧川さん、若いのに上手だったよ。ありがとうね。」

/ドキーン/ 

(や、やぱい、何も覚えてない、、)

「あ、ああの、、」

牧川の可愛い顔がおどろきで引きつっていた。あきらは吹き出しそうになるのをこらえるのに必死だ。

「だけど、あんなことや、あんなすごいこと、さすがのわたしも初めてだったわ。」

そんなことを言われた牧川は、何とか深いところまで潜ってしまった記憶の井戸を掘り起こそうとする。だが、、何も思い出せなかった。

(やっぱり、、手をだしてしまった、、、その上、覚えてないなんて、、)

最低の男だ!これでは、あの伝説の男、設楽涼の若き日と何も変わりないではないか。牧川は自己嫌悪に陥った。昨夜から抱いたあきらへの感情は、牧川の心が、体が、ちゃんと覚えている。さまざまな記憶がポツンポツンと、ところどころ抜け落ちていても、あきらに持ったきゅんとする気持ち、これだけは、しっかり牧川の胸に刻み込まれていた。つまりあきらは、牧川にとって憎からず思っていた相手であり、たとえ勢いであったとしても、男と女の関係を結んだとしても、牧川としては、これを一夜限りで終わらせるつもりはない。けれど、その一部始終の記憶がすべて抜け落ちている、というその事実が牧川を自己嫌悪に陥らせる最大の理由だ。

(まじ、、最低のヤツ、、)

己のだらしなさに、鳩尾が痛くなり、吐き気までする。こんな大切な夜を記憶にも残さず、あきらを抱いたなんて、、、あきらに何と申し訳ないのだろう。

牧川の瞳が悔しさでうるみ始める。あきらがあわてた。

「ちょ、ちょっと、冗談だから。牧川さん、冗談っ!」
「へ?」
「ごめんね。本当、ごめん。あんまり可愛い顔してるから、つい、、何だか、からかっちゃった。」
「え?」
「なんにもないから。昨晩、牧川さん酔って寝ちゃって、それで、わたしんちに泊めただけ。そんだけ。布団運ぶの面倒だったから、わたしの部屋で寝てもらっただけだけど、、」

あきらは、ここで言葉をきった。

「だけど、わたしはお釈迦さまに誓っていうけど、牧川さんに手、だしてないから!」

あきらの白い歯がこぼれて、牧川に、笑いかけた。彼女の笑顔は本当にお日様のようで、あったかくて、きらきらと輝いていた。

(ああ、だめだ。)

牧川の心の声が聞こえた。やられた。そんな声が聞こえた。お天道さまの中を全うに歩いてきて、決して後ろを振り向かず前だけを歩いていく、そんな清々しさがあきらにはある。牧川は、昨日会ったばかりの女をみつめ、胸が切なくきゅっとした。恋に落ちる瞬間っというのは、こんな一瞬のことなのかもしれない。

/ドンドンドン/ 「あきら、起きてんだろう?!」

いきなり襖があいた。スラリとした見ためのいい男が立っていた。

牧川の記憶が確かならば、岸雄之助、、40歳。男を愛するアル恋リス、ワインバーのオーナー。ついでにゲイ。

「なんだよ、牧川さんを独占しちゃって。おはよう、牧川さん。よく眠れた?」

こちらも極上の笑みを牧川に向ける。

「あ、おはようございます。」

キビキビとした動きであきらは布団をたたみながら、雄之助に文句を放つ。

「あら、わたしは牧川さんを飢えた野獣から守っただけのことよ。」
「ふん。」

二人の言い争いに、何やら、すこおおしだけ昨晩の記憶がチラリと蘇ってきたような、、、牧川は頭を抱えた。





結局ワインバーで酔いつぶれてしまった牧川を、嬉しそうにおんぶしたのは雄之助だった。そして、あきらの実家に連れてきた。というか、雄之助の間借りしている場所でもある。もともとこの家は、あきらの祖父夫妻が住んでいた家だ。早くに両親を亡くしたあきらは祖父夫妻に育てられた。雄之助は幼馴染で、当時、近所に住んでいたのだが、途中、引っ越しして行った。何年も月日が流れ、雄之助がこの町に戻ってきたときには、すでにあきらの祖母は他界しており、あきらと祖父でこの家に住んでおり、以来、雄之助は、この家の下宿人として、家族のように暮らしているのだ。

『じゃ、牧川さんは、俺の部屋で寝かすよ。』

少しだけハナの下を伸ばし、その美しい顔に何やら蠢く妄想を隠しながら言う雄之助を、あきらはピシャリと切った。

『手、出したら駄目よ。牧川さん、ノンケじゃないの。雄さんが、ゲイだっていうし、本当にかわいらしい顔してるからてっきりそうだと思ってたけど、、、彼を雄さんの世界に、しかも、変態ワールドに引きずり込まないでよ?!』
『な、何が、変態だ、ばーろー!』

雄之助のすごい手練手管は有名で、あきらは昔から何度も雄之助に手ひどく捨てられた男たちの愚痴や泣き言を、よく聞かされ続けてきた。しばらくあきらと雄之助が口げんかが続いたと思いきや、いきなり牧川の瞼がぱっと開かれた。

『僕、あきらさんと寝るのがいいです。雄之助さんじゃなくて、あきらさんがいい。』

そう言いながら、あきらに抱きついた。

『ちょ、ちょ、、』

抱きつかれたあきらはあせるものの、こんなかわいい子犬に抱きつかれて悪い気がするわけない。

『アハハ、雄さん、嫌われちゃったねえ?』
『フン。まだ、何も始まってませんよおおおだっ!』

などと憎まれ口をきく雄之助だが、牧川を再びあきらの部屋に運んでくれる優しい男。




何となく、何となくだが、そんなもやあああとした記憶が戻ってきたような、、、

「あ、あの、、すみません、ご迷惑かけて、」、

恥ずかしさと自己嫌悪にさいなまれ、挙句他人様にまで迷惑をかけてしまったその自責の念で、シュンとショボンとうなだれる牧川に、あきらも雄之助も責める言葉を言えるはずもない。二人は鬼でもなければ悪魔でもない。こんなかわいらしい生き物を責めるものがいるのならば、それは人に非ず。

「だ、だいじょうぶよ、牧川さん。」
「そうだよ、牧川さん、気にしないで、、」

「で、でも、、」


/ドンガラリン/ 

すごい勢いで襖があいた。今度はノックの音さえもしなかった。

「何をやってやがるんでええ!」

大声で威勢よく入ってきたのは、70は過ぎていようか、小柄のシニアの御仁。

「お天道さまに笑われるぜ、若いもんが、いつまでも寝てちゃよ?え?」

牧川は再びぎょっとして、その御仁と目があった。するとどうだろう、先ほどまで眼光鋭かったその瞳が、くしゃりと細められ、顔中皺だらけにしながら、優しい声をだした。

「お、牧川さん、起きたのかい?おはようさん!」
「あ、おはようございます。」

牧川は布団の上で正座をして、思いっきり頭をブンと下げた。その姿がまた妙にかわいらしく、3人は笑いを押し殺す。

「よく眠れたかい?牧川さんよ?」

先方は自分の名前を知っているらしい。牧川は再び記憶の井戸を掘り起す。だがみかねたようにあきらが助け舟をだした。

「わたしのおじいちゃん、安河内雁次郎(やすこうちがんじろう) 73歳、牧川さんよろしくね。やっぱ、昨夜のことは覚えてないのね?すごくしっかりしておじいちゃんに自己紹介してたけどねえ。」

「あ、す、すみません、、何にも、、覚えてなくて、、改めてよろしくお願いします。あ、それに勝手におしかけてしまってすみませんでした。」

「何、良いってことよ!それよりも、朝飯にしようじゃねえかい?え?」
「そうね、そうしよう。」
「うん、いいね。」

3人は、牧川がいてもいなくても、いつもと何も変わらない様子で、部屋を出ていく。あきらが、部屋を出ていく間際に、

「牧川さん、朝食べても、会社、間に合うでしょう?」
「え?」

そうだ、どんな朝を迎えても、休みでない限り仕事はあっていつもと何も変わらない日が始まっているのだ。

「い、今何時ですか?」
「えっと、5時半。」

えええええええと心の中で叫ぶ。そうだ、下町の朝は早いのだ。これなら、十分に朝飯を食べ、出社してもお釣りがくる。

「あ、ありがとうございます。」

「じゃあ、朝風呂はいる? それから洗面道具出しとくね。下着は、雄さんのもらって。雄さん、きっと新品の下着、色々と持っているはずだから、、、」


そのままあきらも部屋の外に消えていく。古い木造作りの部屋に残された牧川。何だか頭が働かない。なんとなくあきらを好きになりそうな予感はあるけれど、あきらとつきあうと、おそらくもれなく雄之助と雁次郎がついてくるのではなかろうか、、、、頭を抱えてしまった。

だがすぐに思い直す。まあ、いいか。昨夜から今、このとき、この瞬間まで、あの人たちといて退屈したことがない。自分とまったく違う人たち、こんな人たちと多生の縁で袖をすりあわせていくのも悪くない。そう思えば気が楽になった。まずは、風呂をいただいて、頭をすっきりしよう!

こういうところが牧川の美徳だ。前をきちんと向いて歩ける。意外とあきらとお似合いかもしれないが、、

クリスマスの朝は、こんな日本家屋にもやってくる。サンタさんからもらった温かいモノを心の中にそっとしまう。そうだ今日はクリスマス。何か素敵なことがおこりそうな日でもあり、奇跡が起こらないとも限らない。ならば足を一歩踏み出すのも悪くない。だって今日はクリスマス。聖なる夜にハッピークリスマス。

一人ひとりの心にハッピーメリークリスマス!



THE END

いきなり突発的にクリスマスイベントを書いてみました。
なので、突貫工事のようでおはずかしいのですが、、
それでもいつかは、トイプーこと牧川の恋愛事情は
何かのときに書こうかなあ、、とうっすら思っていて。
牧川とあきらが恋愛に発展するかは、、
奇跡のクリスマス、それは神のみぞ知るわけでございます。
というわけで、皆様も素敵な夜をお過ごしくださいませ。
ハッピークリスマス!vvv
福垣内マリヤ拝
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ポチリ嬉喜

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